だけど、自分で歌詞を和訳するのって意外と大変ですよね。
でも和訳してみると、
「英語ではこんなことを言っていたのか・・・!」
「劇団四季の訳詞と全然違う!」
という発見がとても多いです!
この記事を読めば物語の冒頭の曲「No one mourns the wicked」の英語歌詞の意味を知って、ウィキッドを100倍楽しむことができます!
目次
タイトル意味は?~No one mourns the wicked~
歌詞を紹介する前に、英語のタイトルの意味と、この曲はどういうシーンなのかを紹介します!
No one mourns the wicked ってどういう意味?
No one mourns the wicked
訳:誰もウィキッドの死を悲しまない
- mourn :悲しむ、死を悼む
- wicked:悪い、不道徳な、不正の悪意のある
- the 形容詞:〜な人々 or 〜なもの
この物語では、
the wicked = 西の悪い魔女 = エルファバ
を指すことが多いですが、
曲の中では、「The good」や「Goodness」との対比で、悪い人々、悪いこと、などという悪の総称としての使われ方もしています。
この曲はどんなシーン?
物語の冒頭のシーンで、全てが終わって群衆が歓喜に包まれるシーンです。
ウィキッドの物語は入れ子構造になっていて、現在-過去-その流れでの現在、という形で進んでいきます。
共通の敵を倒し、歓喜に包まれる雰囲気である一方で、
悪に対する強い嫌悪感であったり、良い行いの象徴・グリンダ(Glinda the good)を盲信する民衆の姿に、私は、少し違和感や恐怖を感じてしまいました。。。
歌詞の解説~No one mours the wicked~
YouTube WickedVEVOより
それでは、早速No one mours the wickedの歌詞を見ていきましょう
作詞:Stephen Schwartz
オズの国民たちの歓喜
(オズの国民たち)
Good news!
She’s dead!
The Witch of the West is dead!
The wickedest witch there ever was
The enemy of all of us here in Oz is dead!
Good news!
Good news!グッドニュースだ!彼女が死んだ!
西の魔女が死んだ!
史上最悪の魔女で、オズのみんなの敵である彼女が死んだ!
グッドニュースだ!
オズの共通の敵だった西の悪い魔女が死んだ!と群衆は喜んでいます。
(グリンダ)
Fellow Ozians…
Let us be glad
Let us be grateful
Let us rejoicify that goodness could subdue
The wicked workings of you-know-whoオズの仲間たち。。。。
喜びましょう、感謝しましょう
我々の善良な行いが、例のあいつのひどい行いを制圧したことを喜びましょう。
初めてこの物語を見る人は絶対気づけないのですが、
民衆にとっての「例のあいつ」と、真実を知っているグリンダが意味する「例のあいつ」は実は別人なんじゃないか・・・。
日本語歌詞にはないとっても奥深い言い回しです。
fellow:仲間
rejoicify:大いに喜ぶ(rejoiceと同義)
subdue:鎮圧する
you-know-who:例のあいつ
(グリンダ)
Isn’t it nice to know?
That good will conquer evil?
The truth we all believe’ll by and by
Outlive a lie
For you and —知れてよかったと思わない?
良い行いは悪事を打ち負かすと
我々みんなが信じている真実はやがて
嘘よりも長く存続する。
そして、、、
「The truth we all believe」という表現も奥深いです。「我々が信じている」真実であって、本当に起きたことは別にあることを匂わせているように感じました。
conquer:制服する
outlive〜:〜よりも生き延びる、〜より長く存続する
by and by:やがて、まもなく、そのうちに
「悪」への嫌悪
(オズの国民たち)
No one mourns the Wicked
No one cries: “They won’t return!”
No one lays a lily on their grave誰もウィキッドの死を悲しまない
誰も「彼らが戻ってこない」と泣きません
誰も彼らの墓にユリの花をたむけません
民衆が集まってウィキッドを非難する様子には、一種の違和感を感じます。
mourn:悲しむ
lily:ユリ(葬式の献花として使われる)
grave:墓
(オズの国民たち)
The good man scorns the Wicked
Through their lives, our children learn
What we miss
When we misbehave善良な人は悪人を軽蔑します
我々の子どもたちは人生を通して
私たちが悪事を働いた時に失うものは何かを学びます
何かを盲信している人は怖い、狂気を感じます。
scorns:軽蔑する
misbehave:不正をする、無作法に振る舞う
(グリンダ)
And goodness knows
The Wicked’s lives are lonely
Goodness knows
The Wicked die alone
It just shows, when you’re wicked
You’re left only on your own悪人の人生は孤独で、一人で死んでいくことを
善良な人は知っています。
つまり、あなたが悪人だったら、あなたは一人取り残されてしまうのです。(オズの国民たち)
Yes, goodness knows
The Wicked’s lives are lonely
Goodness knows
The Wicked cry alone
Nothing grows for the wicked
They reap only what they’ve sownそう、善人は知っている、悪人は孤独で、一人で泣くのだと。
悪い行いからは何も育たない。自業自得だ。
グリンダを盲信している群衆の様子がわかります。
reap:得る
sow:タネを巻く
悪い魔女が生まれた理由
(グリンダ)
Are people born Wicked?
Or do they have Wickedness thrust upon them?
After all, she had a father
She had a mother, as so many do人々は悪人として生まれてくるのか、
それとも、後から悪人になるのか。。。
彼女には父親がいました。もちろん母親もいたわ。多くの人がそうであるように。
グリンダが、悪は先天的なものか後天的なものかというとても深い疑問を投げかけています。
これは、日本語の歌詞では訳しきれなかった大事なニュアンスだと思います。
have OC:OにCしてもらう
thrust:押し付ける、突っ込む
(エルファバの父親)
Take it away… Take it away!!!!その子を連れて行け、何をしてる、連れて行けと言っているんだ!
(グリンダ)
So you see, it couldn’t have been easy!物事は簡単には行かないものなのよ
歓喜は続く
[ALL]
No one mourns the Wicked!
Now, at last, she’s dead and gone!
Now, at last, there’s joy throughout the land誰も悪い人々をを悲しまない
今、ついに彼女は死んでいなくなった。
今、ついに国中が喜びに包まれているAnd Goodness knows
We know what Goodness is
Goodness knows
The Wicked die aloneそして、善人は善とは何かを知っているし、
悪人は一人で死ぬことを知っている
joy:喜び
land:国
[GLINDA]
She died alone…[ALL]
Woe to those
Who spurn what Goodnesses
They are shown
No one mourns the Wicked善意を拒否する奴らに災いあれ
彼らは目の当たりにするだろう
誰もウィキッドを悲しまない
woe:悲しみ
supurn:拒否する、はねつける
ウィキッドを100倍楽しもう!
今回は、ミュージカル「ウィキッド」が大好きな私が、冒頭の曲「No one mourns the wicked」の歌詞を和訳・解説しました。
この記事を読んで、「ウィキッドを見てみたい!」と思った方は、ぜひ、劇団四季の舞台を予約して大阪へ観に行ったり、アリアナグランデ主演の映画を見に行ってみてください!